L-Acoustics V-DOSC System No.5



2.3 空間的カバレッジの決定(波面彫刻技術彫刻技術)

a) オーディエンスに合わせた音場
各VーDOSCエレメントはフラットな波面を作り出します。いくつかのエレメントを凝集してカップリングすることにより(エンクロージャー間の角度は5度未満)、F1より上の周波数のすべての音波がそこへ向かって放射される扇形のエリアが特定されます。
逆に言えば、この扇形エリア内の一個所あたりの角度(A)を小さくすることによってエリア内により多くのエネルギーを集中させることも、またAを大きくして(ただし5度未満)エネルギーを減らすことも可能です。これはオーディエンスエリア全体を通じエネルギーを安定させることを可能にする原理にすぎず、またこれが波面彫刻技術の核なのです。

次の例はアレーの曲率が、規定された扇形エリア内のSPLに与える影響を示しています。このアレーは4つのエレメントで構成され、カバーしている扇形エリアの角度はS度と想定します。一個所あたりの角度Aが1/2になれば、Sの値も1/2になります。F1より上の周波数ではSPLは3dB増加します。
この同じSの値をカバーするのに8つのエレメントが使われている場合には、F1より上ではSPLは3dB増加し、F1より下では6dB増加します。

カバーする全体的な縦方向のエリアを異なったエネルギー強度を持つ複数の小さいエリアに分割することができるので、サウンドシステムの設計者は上記のパラメーターを使ってオーディエンスの中の別々のエリアに対して音圧を調整することが出来ます。

b)Excelシュミレーションツール

L-ACOUSTICSはエクセルの下で動く、すばやく簡単に操作できるシュミレーションスプレッドシートを開発しました。ウィンドウズバージョンとマッキントッシュバージョンがあります。このツールはオーディエンスエリアの切り分け図と、各V-DOSCエレメントの縦の方向とオーディエンスとの交差状況を見せてくれます。オーディエンスの最後部に向けられた一番上のエレメントの方向に関しては、各エレメントの方向はインプット角度A度に従って自動的に変更されます。

オペレータは下記のデータをインプットしなければなりません(距離の単位はすべてメートル):
*   Cell D3: アレー内のエレメントの数
*   Cell C6: 床面からのアレートップの高さ
*   Cell C7: カバーレッジの近端の限界
*   Cell Q5: 最も近いリスナーの床面からの高さ
*   Cells P8、Q8、P9、Q9: 任意の二つのセクションに分けられるオーディエンスを規定する幾何学的パラメータ(実際のオーディエンスの形状がもっと複雑な場合には、二つ以上のシーンに分けて別々に検証が必要です。)第一セクションはアレーから近い方のオーディエンスです。範囲はシステムから、セル P8にインプットされた距離まで。
* オーディエンスには高低差がある場合がありますが、それは第一セクションオーディエンスの後部の高さをセル Q8にインプットすることで規定できます。このセクションのオーディエンスがフラットなフロアーにいる場合には、もちろんQ8の値は0と入力します。第2セクションのオーディエンスは第一セクションの後に続くものと想定します。第2セクションは第一セクションのちょうど最後部から始まります。第2セクションの奥行きをセル P9に、最後部の高さをQ9に入力します。
注意!!: P8とP9に入力する値は0にはできません。オーディエンスが一つのセクションのみで構成される場合には、2つのセルのどちらか一方にごく小さい値を入れてください。

次にV-DOSCエレメント間の角度をB14からB28までのセルに入力します。B14はアレーの一番上のエレメントとそのすぐ下の二番目のエレメントとの間の角度で、その後も同様に順番に入力していきます。これらのセルに入力する数字は、実際にアングルストラップによって限定されている範囲内の実行可能な数字から選ばなくてはなりません。
実行可能な数字とは: 0.6度、1.8度、4度、5.3度です。 これは、ストラップは名目上の値と全く同じ正確な角度は実現しないからです。

            名目上の値            実際の角度


              0゜               0.6゜
              1.5゜              1.8゜
              4゜               4゜
              5゜               5.3゜

値が入力されるとオーディエンスのカバレッジが表示され、これは簡単に最適化することができます。各エレメントのエイミング/照準は赤い点で表示され、すべての点が直線で結ばれて、カバレッジを表す一本の断続的な線になります。
理論的には、これがオーディエンスの形状に近いものでなくてはなりません。

次にカバレッジを最適化するには、赤い点同士の間の距離が一定な場合には、SPLはリスナーと音源との距離が二倍になるごとに3dB減少します。距離が二倍になったときに赤い点同士の間の距離も二倍になったら、SPLは距離が二倍になるごとに6dB減少します。これをふまえて安全なやり方は、赤い点同士の間の距離を出来る限り一律にすることです。
そして所定の距離でのSPLを知りたい場合には、その距離をセルの133に入力すれば結果がセルの134に表示されます。



 今回は、VーDOSCのカバレッジの決定についての説明ですが、つまりExcelシュミレーションツールを使うことによって、基本的な数字を入力することにより何処のオーディエンスエリアに音をどのようにサービス出来るかを簡単にシュミレーション出来ると言うことです。これは、システムを実際にプランニングする場合には非常に便利なツールだと思います。このツールを触ってみれば、上記のV-DOSCのシステム構成がより理解できると思います。

 次回は、V-DOSCを床よりのスタックかフライングかと言う課題を提供します。

 次回を楽しみに!!


上記の貴重な資料は、ベステックオーディオ(株)からの提供です。

より多くの人達がこのSYSTEMを理解して頂ければ幸いです。

貴重な文献に対して感謝いたします。有り難うございます。




資料提供先

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