Comb Filtersについて No.3



1.2 Comb Filter level

 今回は、Comb filterのレベルについて書きます。
前回に書きましたが、直接音と直接音より少し遅れた音が合成されると、Comb filteが発生することは、理解できたと思います。今回は、直接音と直接音より少し遅れた音、双方ののレベルによって、どうなるのかを検証したいと思います。
 直接音と遅れた信号レベルが同じ場合には、最大6dB加算されます。これは、Combフィルターリングの状況に置いて、潜在的な局面です。この場合、(同じレベルの時)キャンセル効果が、非常に大きくなります。    ピークの帯域幅とディップの帯域幅は、ピークがディップより広いという現象が起き、ピークとディップの帯域幅は、同じではありません。ピークの部分をイコライゼーションによって減らすことが出来ても、ディップは、あまりにも深くて、帯域幅が狭い為、補正は、不可能に近いです。
 レベルoffsetが増える場合、(直接音に対して、遅れた信号レベルが低下した場合、)ピークとディップの大きさが減らされ、フィルタースロープは減少する。これは、systemのイコライゼーションをよりいっそうしやすくする。この状況を下記のFig 1.1h~jで示されています。
 オクターブからオクターブの100番目までで(ofset time 0.1~10ms)、連続するピークの帯域幅の割合が進んで狭くなっている事を思い出してください。(参照 Fig 1.1f~g)
 効果的にイコライゼーションするためには、調整可能な(バリアブルな)帯域とセンタ周波数を持っているイコライザーでなければなりません。なぜなら、comb filteringを固定することが出来ないからです。
 しかし、こんな現象が出たときに(comb filtering)、あなたは、この周波数特性を補正するために、イコライザーを使用しようと考えていませんか?、それは、全ての周波数特性の問題を引き起こしているのは、comb filteringで有るのです。
 もう一度、全てのSystemの調整を見直してみてください。(systemのディレイの調整とレベル調整をやり直す。)タイムオフセットを最小限にし、レベルオフセットを最大限にしてみてください。それによって、残された特性の乱れは、イコライゼーションによって、補正をしてみてください。
しかし、1/3 オクターブ帯域デバイスと固定のセンタ周波数を持ったグラフィックイコライザーでは、イコライザー処理は、難しいでしょう? それは、1/3オクターブの帯域で、必ずしも補正できるもので無いからです。(問題となる周波数が、必ず、1/3オクターブ上にあるとは、限らないからです。)
もし、あなたが幸運(強運)な持ち主であるならば、その補正したい周波数が、ISO規格の周波数に当たるかも知れません。(大変、ラッキーですね。)
 そして、イコライザー処理した結果、周波数特性が改善されたとしても、今度は、グラフィックイコライザーの位相特性が、問題に成ることでしょう。
 一見、補正されたかに見えるが、イコライザー処理されたsystemの補足的な振幅と位相特性を作ることには、グラフィックイコライザーでは、難しいのです。(図を見ていただければ、お解りになると思いますが、1/3オウクターブのグラフィックイコライザーでの決められた帯域幅、周波数には、必ず収まらないからです。かえって、位相特性を乱すことになります。)
 これらの理由のため、パラメトリックイコライザー(Meyer Sound社のCP-10など)が、必要となるのです。(可変することの出来る帯域幅と周波数)


 測定器を使用し、音場補正をするときに上記のような現象が現れることは、頻繁に現場ではあります。これを見極めるには、測定結果をよく観察し、Comb filter(測定データー上では、連続した、くし形の波形が見られる。)が出来ていないか?を見ることが重要です。ある測定マイク位置でComb filterが出来ていても測定マイク位置を変えると、無くなることがあります。例えば、壁が近い測定マイク位置と壁から離れた測定マイク位置がそれです。もうお解りでしょう。そうです。直接音と壁からの反射音(直接音より遅れた音)の時間とレベルの違いが、原因です。
 Comb filterが出来ている時点での測定結果に基づいて、音場補正をしても全く意味のないことが理解していただけたでしょうか?
 Comb filterを作らないことが、重要です。SPのマウントに置いても壁になるべく当てないマウントをすることが重要なのは、その為です。また、もっともComb filterが出来やすいのは、ステージ上のモニタースピーカです。特に各々が隣接しているフットモニターSPとサイドモニターでしょう。
 上記のこと(Comb filter)を顧慮の上、もう一度、スピーカーの音圧レベルや配置について、考えてみてください。



 今回は、Comb filterのレベルについてでした。 如何でしたか?

 あくまでも測定器は、測定器だと認識してください。万能ではありません。むしろ、その測定結果を判断する人にウエイトがかかります。いろんな状況の測定結果を見て、総合的に判断をしてください。

 また、分かりにくい点がありましたら、指摘及び質問をお願い致します。

 次回も期待しておいてください。

 今後ともよろしくお願い致します。




参考資料 Meyer Sound Design Reference for Sound Reinforcement(MEYER Sound Inc.)
    

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