Earthworks特長とその使用法 No.1



Earthworks 用例集


はじめに....
Earthworks(アースワークス)社は米国ニューハンプシヤー州にオーディオメ一カーです。

無指向性マイクが持つ優れた特性に注目し、世界でもトップクラスの高性能マイクを安価で開発することに成功し、急速に評価を高めています。本書は無指向性マイク本来の良さをもっと多くの人に理解してもらい、測定以外の音楽の録音やPAにも普及することを願って、業界からの反響も数多く紹介しながら特徴と使用例を解説したものです。

無指向性マイクに対する疑問について....
 無指向性マイクが音響的にまたは物理的に優れたマイクであるのは良く知られていますが、一般的に利用されていないからという理由で使用に消極的な人達や、特別のマイクに強い愛着を持つ人達が多いのが現実です。まだ録音の世界では市民権を獲得しているとは言い難い無指向性マイクの良さを知って欲しい、というのが創設以来アースワークス社の願いでありました。今思えば私自身でさえアースワークス社と関わらなければ、指向性が無いという理由だけで無指向性マイクの良さを知る機会も無かったろうと思うほどです。指向性が無いと周囲の音を全部拾ってしまうではないか!マイクはどっちに向ければいいのだろう?回り込みは問題にならないのか?無指向性マイクはステレオ音像がボケると言う人もいます。ハウリングを起こしやすいというのは本当だろうか?このような疑問も、無指向性マイクを録音、測定、さらにSRの現場で使用し、良い結果が得られたことで次第に不信感は薄らいで自信に変わりました。適切な使い方さえ飲み込めば・…無指向性マイクの音は素晴らしい!技術的な問題は詳しく知らなくてもその良さは体験できます。もちろん技術的な疑問があれば遠慮なく弊社までご連絡をください。
                    ....by Eric Blackmer

どうして無指向性にこだわるのか?その開発コンセプト....
 アースワークス社の開発目標は、可能な限り物理的に正確なマイクを開発することにあります。正確性を高めるため、先ず様々なマイクのパルス応答特性を詳細に調べてみました。この検証によって、時間軸に対する動作特性を示す貴重なデータを数多く得ることができました。これから明らかになったのは「大半のマイクが時間軸に対して大きく歪んでいる」ということでした。どのマイクも程度の差こそあれ位相が不正確で結果として再生波形に歪を生じています。例えばパルス信号が入力されるとリンギングが生じます。この余分なダイヤフラムの振動によって生じる、何周期かの不要な出力が本来の波形を歪ませる訳です。特に波長が短く立上がりが速く大きいパルスほど影響は顕著です。
 ダイヤフラムヘの音の伝達経路が複数存在すると、それも時間的特性を損ないます。ダイヤフラムを収納しているハウジング内で起こる共振や反射も大きく音の色付けに影響します。通常指向性のあるマイクは、正面以外にチューニングを施した開口部を別に設け、二箇所から入ってくる音を合成することで指向性を作り出します。これを可能にしているのは音に干渉性(コヒーレンス)があるからです。反面、この方法で指向性を作るとがコヒーレンスが逆に悪影響を及ぼし、正面方向以外の音は特定の周波数同士が打消しあうため低減から高域まで感度を均一にするのが困難になります。これでは時間軸という点から見て正確なマイクとは呼べません。これは源波形を変形させるため音の色付けとして聞こえます。したがって物理特性を改善するには無指向性マイクの方が有利なのは明らかです。そこでEarthworks杜は、時間的に正確である無指向性マイクの優れた利点を生かすため、特にパルス応答特性が正確になるよう設計を行い、その結果、時間的に最も正確なマイクを作ることに成功しました。

マイクの選び方と色づけ...
 新しいマイクの評価を行う場合に一番簡単で有効な方法は、どのマイクに似た音がするか?そして何に使うと一番合っているか?を知ることです。一般的に、ダイヤフラムが小さいマイクをドラムのオーバーヘッド、ギター等のアコースティックな楽器に利用します。また大型ダイヤフラムのマイクはボーカルや低音楽器に利用します。これは多くのエンジニアが、マイクの音と自分や演奏家の求める音をピッタリー致させるため、マイクそれぞれの音質的な特徴やクセ、つまり色付けを利用した結果です。たとえば周波数特性にピークがあるマイクを使って声をより活々とさせたり、アナウンサーの声を実際よりも低く豊かにする為わざと近接効果を利用したりします。良くも悪くも指向性のあるマイクは、近接効果や色づけから逃れられませんのでマイクの個性を積極的に利用する必要があるのです。この考え方からするとアースワークスのマイクは色付けが非常に少ないので、従来のマイクセッティングでは特徴が生かされない状況も考えられます。最適の方法を見つけるために実際に米国の複数のスタジオエンジニアによる使用例が良いヒントとなります。(ご希望の方はトモカ電気(株)までご用命ください)

無指向性マイクのメリット....
 指向性マイクと決定的に異なるのは近接効果による低減の上昇が無いことです。ギター等に非常に近接させた場合に経験するような低減が膨らみ音がボケることがありません。幾ら音源に近づけてもマイク自体の音色が変化することはありませんからセッティングに制約を受けないというのが別のメリットです。更に通常のマイクでは過大入力の心配があるスネアやキックドラムに使用しても、耐入力が極めて大きいので(150dB SPL)歪む心配が無いのも特長です。またこのサイズのダイヤフラムでは低減の特性が不充分であると思われ勝ちですが、利用した誰もが驚くほど非常に超低域までフラットに伸びています。

ノイズ・マイク(アンビエント・マイク)として....
 アースワークスのマイクは、環境音を良く拾いますからSPLが中程度以上か極めて大きい音場でノイズ・マイクとして最適です。部屋の響きが良ければ、その部屋の環境音(アシビエント)をミックスする方法は非常に効果があります。スタジオ等では、ノイズ・マイクを加えると全体の統一感を高め、音がデッドになるのを防ぎます。音源から離れるほど環境音が大きくなり楽器との最適バランスを調整することができます。つい最近、私がブルースバンドを4トラックにライブ録音した時は、2トラック分の音はPAミキサーからもらい、残り2トラックにはアースワークスのマイクをフットつまりボーカルマイクの真正面にペアで、互いに離してセッティングした音を入れました。PAからもらった音はいわゆるデッドな音で、その上ステージ上でかなり音量の大きかった楽器が逆に小さくなりすぎてしまいました。そこでノイズ・マイクを加えたところ、まるでその場にいるのと同じように大変リアルになりました(実際には却って良くなった程です)。マイクをバックコーラスから離れた位置に立てたら、実際と同じようにコーラスがバックに並んで聞こえました。ギターアンプに近接させ拾った音がドライ過ぎる場合、アースワークスのノイズ・マイクを加えると響きの豊かな音に変えることもできます。
 正式に防音工事を施していない部屋でアンビエントマイクを加えて録音を行うと、近接マイクで判らなかった騒音が大きく入ることが報告されています。例えば空調、遠くの列車や自動車の騒音寺耳では問題にならないほど小さな音が入っていて驚くことがあります。音源が特定できない場合マイク自体のノイズとか音質の為だと誤解されることも有ります。いづれにしても微弱な音の集音力が高いことの証明でもあります。この特長を生かす方法がアンビエントマイクです。
 アースワークスのマイクは主演奏の音や雰囲気を捉えるには強力な武器だと信じています。マイクのパルス特性/f特は極めて優秀ですから,その場の音を非常に繊細かつ正確に表現できます。一度ご自分の耳でご確認ください。
 「最近Bob Mintzer Big Bandを完成させたばかりだ。QTC-1をMillennia Mediaのマイクプリに通した。スタジオの部屋の響きも録ろうと恩い、普段やっている通り120゜に角度を開いたステレオ・ペアマイクを約38cmの間隔を空けてバンドの上方の高い位置にセットした。残念ながらこのマイクにとってこの方法は必ずしも適当ではなかった。何故ならこのマイクは90゜方向でも20KHzまでフラットだからだ。しかしアースワークスの無指向マイクは細部まで捉えることができ、これまで聞いたことが無い音が得られた」
                   ....by Tom Jung

スイートスポットを見つける...
 スイートスポット一自分好みの音がする場所を求めてアチコチ聴いて探し廻る、これはかなりの芸当だ!やっと探し当てたそのスイートスポットにマイクを立てる。ステレオ録音の場合、頭で描いた理想のイメージをしっかりキープできるように別のマイク(アンビエントマイク等)をセットする。この方法で成功を収めた多くのエンジニアが真っ先に選ぶのはアースワークスのマイクだと言っています。何故ならこのマイクは、その場所で起こっている現象を正確に捉えることができるからです。一たとえ音響的に一筋縄で行かないような場所にだってスイートスポットは存在しますが、かといってドンピシャリのマイクセッティングを見つけるために多くの時間を費すのは賢明ではありません。現に多くのユーザーから、アースワークスのマイクを使うことで最適のセッティング場所を探し当てる時間をずいぶん節約できたという報告をもらっています。大抵の場合アースワークスのマイクは寛容でミュージシャンの味方なのです。


 今回は、冒頭でも書いていますが、無指向性マイク本来の良さを多くの人に理解をしていただく為に”その特長と使用例”と題して提示していきます。内容に関して、物足りない部分もありますが理解をお願い致します。質問等に関しては、メールにて送っていただければ解答をと、考えています。また、基本的に質問等及び解答に関してはオープンにしたいと思いますので、、、直接、トモカ電気株式会社さんに質問された事柄でもメールしていただければ、この場でオープンしたいと思います。ご協力をお願い致します。

 次回予告 逆二乗の法則、無指向性マイクの近接ワンポイント・セッティング、EQは必要か?、ドラム録り、生ギター、電気ギター等です。

 次回を楽しみに!!


上記の貴重な資料は、トモカ電気株式会社 飯嶋からの提供です。

デモ等の要望は、飯嶋さんへ連絡をお願いします。
 その際には、レポートを頂ければ幸いです。より多くの人達に紹介を致します。

貴重な文献に対して感謝いたします。有り難うございます。




資料提供先

トモカ電気株式会社 担当 飯嶋氏
〒101-0021 東京都千代田区外神田1-15-16 ラジオ会館6F TEL 03-3253-6528 FAX 03-3253-6519
トモカ電気株式会社 HomePage:http://www.tomoca.co.jp/
E-Mail:Iijima@tomoca.co.jp


Earthworks,inc. HomePage:http://www.earthwks.com/


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